秋田地方裁判所 平成6年(わ)21号 判決 1994年8月23日
本店所在地
秋田県横手市杉沢字中杉沢五九二番地五
商号
株式会社 山本産業
代表者の住所(登記簿上)
同市二葉町三番二八号
代表者の氏名
山本承義
本籍
秋田県横手市二葉二四番地三
住居
同 台所町三番四三号
会社役員
山本承義
昭和一五年六月六日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官岩崎晃出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人山本承義を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人山本承義に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、肩書本店所在地に本店を置き、産業廃棄物の処理、古鉄・古紙の回収・再製販売等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成四年四月八日以前は五〇〇万円)の株式会社であり、被告人山本承義(以下単に「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億二五一四万二八九八円であったにもかかわらず、同年一一月三〇日、秋田県横手市旭川一丁目五番八号所在の所轄横手税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一一七八万一七一二円であり、これに対する法人税額は三七〇万四三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度の正規の法人税額五一二九万一二〇〇円との差額四七五八万六九〇〇円を免れ
第二 平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が六一七九万〇七九〇円であったにもかかわらず、同年一一月三〇日、前記横手税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一二九九万九九八三円であり、これに対する法人税額は四〇九万五一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度の正規の法人税額二三六〇万一八〇〇円との差額一九五〇万六七〇〇円を免れ
第三 平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四八三六万〇九六一円であったにもかかわらず、同年一一月三〇日前記横手税務署において、同税務署長に対し、その所得金額は一三七〇万二七三六円であり、これに対する法人税額は四〇〇万五七〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度の正規の法人税額一七〇〇万二五〇〇円との差額一二九九万六八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実について
一 被告人(及び被告会社代表者)の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する各供述調書
一 山本邦子の検察官に対する平成六年三月三日付各供述調書
一 梅沢美雪、小田嶋龍子、山井栄治家の検察官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の商品棚卸高(売上原価)調査書、仕入調査書、交際費調査書、租税公課調査書、受取利息調査書、有価証券売却損益調査書、事業税認定損調査書、県民税利子割調査書
一 検察事務官作成の同月七日付捜査報告書
判示第一の事実について
一 押収してある法人税確定申告書(平成六年押第一一号の一)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の賞与引当金当期認容額調査書
一 押収してある法人税確定申告書(前同押号の二)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の消費税認容額調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書(交際費の金額について)
一 押収してある法人税確定申告書(前同押号の三)
(法令の適用)
一 被告会社
判示第一ないし第三につき 法人税法一六四条一項、一五九条
併合罪加重につき 刑法四五条前段、四八条二項
二 被告人
判示第一ないし第三につき 法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)
併合罪加重につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条
刑の執行猶予につき 刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 古田浩)